産経新聞に顔がみえマスクの開発秘話が掲載
大人気「顔がみえマスク」 ユニ・チャーム開発秘話
2021年6月19日 産経新聞掲載
https://www.sankei.com/article/20210619-DCEWBM5Q4JPB5GZTMVVUDYSLQY/
コロナ禍でマスク着用が常態化した昨年、日ごろから全社員の誕生日に祝福メールを送っているユニ・チャーム高原社長から、生まれつき聴覚障害をもつある同社社員にメールが届いた。
同社員は、「相手が何を話しているのか、口元が見えないので分からず困っています」という内容を、謝辞とともに返信したという。
マスクを着用すると顔の半分が覆われ、口元はもちろん、表情も分かりづらくなる。
会社の仕事はオンラインでのやり取りが増えたが、パソコンから出る音は聞き取りづらく、ほとんど分からない。通常の業務にも支障が生じてしまっており、同社員は市販のマスクを切り取って透明なフィルムを張ったマスクを自宅でミシンを使って作り、周囲の人たちにそれを配ってつけてもらうようお願いしていた。
高原社長はこのメールで困っている人が身近にいることを知り、トップダウンで急ピッチでの開発指示を出した。
「ビジネスとしてのパイは小さいと思われるし、実は改善点はまだあるのだが、とにかく困っている人に早く届けたい一心でつくった」(ユニ・チャーム 広報)
口元や顔を見ることができるマスクは、メールのやり取りからわずか5カ月後に完成した。
「顔がみえマスク」は現在、国内工場で手作りしており、生産量は多くない。初回の販売開始は4月27日で、3千枚限定だった。同社の販売サイトのみで告知したところ、わずか7時間で完売。需要の高さが浮き彫りになった。
注文は言語障害や教育の現場に立つ人からが多い。介護士、英語教師、保育士といった人たち。いずれもスムーズなコミュニケーションや言語を覚えるために、口元が見えることが重要となる職種だ。
量産化も視野に入るが、「まだ完成品とは思っていない。不具合の声もあり、それらの声を聴いて改良を重ねていく方針」(ユニ・チャーム 広報)という。
2021/07/02